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2-17.良い流れを

17.先を見て動く事は大切だけれど、焦り過ぎて執着するより、目の前の事や人を一つ一つを大切にしていくのが先に行き着く為の近道となる。丁寧に過ごし、丁寧に接することは周りを思いやる事でもあるけれど
結果自分を大切にしていることへ繋がっていく



桜の木の元に白い鳥達が戻ってきた
私達はそろそろまた歩き出そうと思うと伝えると、桜の木が
〔もう行くのね。
 もう少し居てほしかったわ
 もう少しすると、綺麗な新緑の葉に
 変わって、今とは違う姿を見せれるのに
 残念。また立ち寄ってね。〕

『そうなの。見たかったな。
 新緑の葉もとても綺麗なんだろうね。』

〔えぇ。とても綺麗!
 花も大切だけれど、
 葉もとても大切な存在。
 その本当の大切さに
 気づけていなくて、、
 申し訳ないとさえ今は思えるの。〕

『どうしてそう思うの?』

〔葉をないがしろにしていた訳では
 決してないのだけれど、花にばかり
 気を取られて、花が咲かず葉が先に
 咲いてしまった時に落胆して
 しまっていたの。葉がでてきた時に
 ちゃんと出てきてくれて有難うと
 思いを伝えて無かったから
 後悔していて。
 だからその分
 今はちゃんと大切に思っていることも
 感謝の気持ちも伝えるようにしてるの。
 その事に気づいてからかな…
 花が咲いたのも〕

『そうだったんだね。
 気づけたからこそ流れが良くなって
 自然と必要なことが動きだしたんだね』

「うん、その通りだね
 木が一つ一つを大切にする事に気づけて
 大切にしていることを伝え始めたから
 大切にされていると分かった方は
 嬉しくなりドンドン成長しようと
 思えていくから良い流れが
 出来たのだろうね。本当に素敵な事だね
 新緑の葉も必ず見にくるよ!」
そう言って風も喜んでいた。

2-16.客観視

16.同じ輪にずっといると、同じ考えの中で固執してしまい、上手くいかず息詰まる事もある。
外に出て沢山の考えに出会う事で、元の輪にも良い風を吹かせられる。
何より、自分の世界を広げられ、
良くも悪くも新しい発見もできる。
そこから多くを学び、吸収し成長していく。
見極める力を養い、
良い繋がりを引き寄せていく。


空を楽しそうに飛び回る親子を見つけた
他の兄妹の鳥達も一緒になり
楽しんで飛び始めた。

風が
「きっと、お母さんが楽しめば
 兄弟達の関係も変わってくるね。」

『え、そうなの?なぜ?』

「さっき、飛んでる時に子の鳥が
 他の兄弟達の足手纏いに自分は
 なってしまってるし、
 お母さんも自分につきっきりになって
 独り占めしてるようで心苦しいから
 早く上達したいような事を
 話してくれたんだ。」

『そうだったんだね…
 皆んなに言えない思いを
 抱えていたんだね』

「うん。でも中心になるお母さんが
 楽しみ始めたら変わる気がする。
 ほら、見て。皆が楽しんで良いんだ。
 って気持ちが楽になって
 気を遣いあわずに自由に飛べてる。
 互いに遠慮してたんだろうね。」

空を見上げると
兄弟で飛び方を教え合う姿が見えた。
小さな鳥は嬉しくてしょうがない様子が見えた。わだかまりが取れたようにも感じた。

『近すぎて言い合えない事も
 あったのだろうね。
 こうやって私達みたいに外から
 客観的に見て話せる相手も時には
 必要なのかもね。』

「うん。僕は色々な所に行って
 出会う度にそう思う。
 色んな見方が大切なんだなぁって。
 だから、
 沢山出会って沢山学び合い続けて
 互いに吸収したり…
 時には言いあったりね。
 生きていくってそういう周りとの
 繋がりなんじゃないかと思うよ」

『そうかもね。1つではなし得なくても
 周りの助けで出来る事が
 沢山あるものね。』

「うん。良い繋がりを見極めて
 沢山出会っていけると良いね。」

2-15.楽しみ方

15.楽しむ事が上達への近道なのは皆が知っていたこと。しかし、
上手くなりたい気持ちから始まった事が、
いつの間にか上手くならなければ。と、
勝手に色々背負ってしまい、
楽しむ事を忘れてしまう。
誰かに何かを伝える時も、
教えなければ、上達させなければ、と
互いの苦しみとなっては良くない。
何をするにも
自分が楽しむ心を忘れないで欲しい。




風と白い鳥の子は、楽しみながら空を自由に飛び回り続けていた。風は特徴を掴むのが上手で白い鳥の子はだんだん自分なりの飛び方をマスターし始めていた。

『少し休憩したら?』
と、私は声をかけた。

白い鳥の子は楽しくて
なかなか休もうとはしない様子だったので
風が先に降りてきた。
それを見て白い鳥の子も諦めて降りてきた。

『凄く上手になったね』
と、私が褒めると白い鳥の子は恥ずかしそうに羽をバタバタして見せた。

風も
「うん!とても上達が早いよ。
 自由に飛び回れる日も近いね」

白い鳥が、嬉しそうにお礼を言った。
〈ありがとう。本当にありがとう。
 こんなに楽しそうに飛ぶ姿を
 見れて嬉しい。
 わたしは早く飛べるように
 してあげなければと
 厳しくしてしまって
 この子の良さを伸ばしてあげる事を
 忘れてしまっていた。
 飛ぶ楽しさを教えてくれてありがとう〉

「いや、僕も楽しかったんだ。
 たぶん、一緒に楽しむ事が
 大切になってくるんじゃないかな。
 一緒になって楽しんだり、
 一緒にどうしたら飛べるか考えたり
 少し出来た事にたいしても
 一緒に喜んだり…
 良くしなければ。とか
 教えなければ。と
 肩に力が入ってしまうと
 教わる方も緊張してしまうしね。
 それに一緒に楽しんでると
 同じ目線になるから、
 こうした方が良くなるなぁって
 見えてくるんだ」

〈そうね…わたしは楽しめてなかった。
 周りと同じように…とばかり考えてしまい
 わたし自身が苦しかった。
 ありがとう。楽になれた。
 わたしも一緒に楽しんでいいのね。〉

白い鳥はスッキリした面持ちになり
子と楽しそうに練習を始めた。

2-14.自由な心

14.自分を省みる事ができたなら、
それを糧に前を向き直せばよい。
いつまでも引きずると良くない連鎖で
周りにも影響してしまう。
そして、本当の気持ちには蓋をせずに
大切な人に素直に伝えることで互いの心の扉が開き始める。




その様子を見ながら白い鳥は、
思いのうちを話し始めた。
〈わたしは、ずっと自分を責めてたの。
 だから、余計に
 この子が他の子達と同じように
 生きていけるようにしてあげたいと
 必死になり過ぎていたのね。
 あんなに風と楽しそうに練習してる姿を
 見てると、わたしの気持ちも軽くなる。
 この子には、この子の飛び方が
 あったのね…
 それをもっと早くに気づいて
 見つけてあげれば良かったわ。〉

『うん。でも、もう自分を責めなくて
 良いんじゃないかな。
 私の考えを言ってみてもよいかな?』

〈えぇ、もちろん〉

 『ありがとう。
 きっと、あなたが自分を責めるのは
 子の負担になってしまうよ。
 自分が産まれてきた事で、
 母を責めてしまってると感じたら
 今度は子が自分を責めてしまうから…
 何というか…連鎖?責め続け合う連鎖?
 と言うのかな…
 ソレが終わらなくなってしまう気かする。
 だから、もし申し訳ない思いが強いなら
 逆に、
 産まれてきてくれてありがとう
 を沢山伝える方が良い気がするんだけど』

〈産まれてきてくれてありがとう、か…
 確かに大切なその事を伝えきれて
 いなかったわ…
 あの子には
 わたしが自分を責めてる気持ちの方が
 伝わっていたのかもしれない。
 あの子はあの子で、
 わたしや兄妹を思い
 沢山苦しんでしまってただろうね。
 申し訳ない事をしてたわ。
 わたしが考え方を変えないとダメね。
 もっと自由にあの子らしく
 飛べるようになって欲しい。
 わたしは結局自分の想いを押しつけて
 しまっていたのかもしれない。
 これからは
 あの子の想いを大切に寄り添っていくわ。
 ありがとう。〉
 
白い鳥は、とても綺麗な表情に変わっていた。

2-13.個性をいかす

13.
周りと同じでいなきゃ、という考え方は
時には苦しみに変わってしまう。
普通という考え方すら
人それぞれに違うことに先ずは気付こう。
皆がそれぞれ違うからこそ補い合え
支え合え、共に歩んでいける。
それぞれが特徴を伸ばし
気持ちが凝り固まらない生き方が出来たら
もっと自由な良い世の中になっていける。




私達が話しを終えると
白い鳥の側に小さな白い鳥が寄ってきた。

『もしかして、白い鳥の子なの?』
私が聞くと

〈そう。わたしの子。
 ほら、あそこを飛んでいるのも
 わたしの子達よ。
 他の子達は上手に羽を使いこなして
 自由に飛べているんだけど…
 この子だけはまだ助けが必要なの〉
白い鳥は空を飛ぶ他の子達の飛ぶ様子を
見上げながら話してくれた。

私も一緒に他の鳥達を見上げてみたが
見た感じは変わらないように思えた。
『そうなんだ。
 見た目は何も変わらないように
 見えるんだけど…』

〈そうね。でも羽の左右の大きさが
 少しだけど違う大きさで産まれたの。
 だからバランスが取りづらくて
 皆と同じようにすんなりと飛べなくて。
 飛ぶ時も
 休みながら少しずつ進んでいるの。
 皆と同じように産んであげれずに
 申し訳ないと思っているの…〉

『そうだったの…
 あなたにしか分からない気持ちや
 この子にしか分からない気持ちが
 沢山沢山沢山あると思うから…
 簡単に言える言葉は見つからないわ。
 でも何か私に出来る事がないか
 考えてみる!』

一緒に聞いてた風が
「うん、そうだね。君たちにしか
 分からない辛さや苦しんでる気持ちに
 簡単な言葉は見つからないから…
 もしよければ、
 僕に乗って練習してみない?
 コツを掴みやすくなるかも!」
 
『そうだね。風なら沢山の鳥達を
 運んできてるから何かコツの掴み方を
 教えられるかも』

〈ありがとう。
 そうね…
 わたしは他の子達と同じように
 飛ばせてあげたい一心でだったから…
 無理をさせていた所もあるかもしれない。
 この子の特徴を掴みきっていなかったわ。
 風に少しお願いしても良いかしら?〉

「もちろん。皆が同じではないから、
 きっとこの子には、この子の飛びやすい
 方法があるハズなんだ。
 この子が無理をせずに
 楽しく飛べる飛び方がきっとあるよ」
 
風に誘われて、白い鳥の子は嬉しそうに練習を始めた。

道を拓く

12.自分が相手を理解しようとしていないだけで、相手には相手の思い方があり、相手の状況や環境があると知ろう。
見放されたと勘違いしたり、どうせ自分なんてと悲観したりと、自分勝手なマイナスなものの見方をせずに、あらゆる角度から物事をみて理解していくと、マイナスの思考は減っていく。
自分から心を開きだせたら、道も拓きだす





様子を見ていた風が
「良かったね」
と言ってくれた。

 『私は歩む事で精一杯だったけど
 歩んできた道の事を思える
 余裕を持てていなかった。
 こんな風に皆が心配してくれてるなんて
 思いもよらなかった』

「そうだね。送り出してくれた側は
 気にかけてくれてるものなんだよね。
 僕もそう、色々な所に行くから
 出会いが多い分、
 皆が気にかけてくれてる。
 再び会いにいくととても喜んでくれるんだ」

『そうだよね。離れて見えない場所にいると
 何してるかな?大丈夫かな?って
 皆思うよね。
 皆がいてくれたから
 ココに居れてるんだった。
 出会いが私の道を切り拓いてくれてた。
 そんな大切な事を忘れるところだったよ』

「良いタイミングで白い鳥に出会えたね」

『うん、そうだね。ありがとう』

白い鳥は微笑んで聞いていた。
〈もし良ければ、私達に伝えてくれたら
 いつでも届けることはできるよ。
 私達を見かけたら、話しかけてみてね〉

『うん。そうさせてもらう。
 ありがとう!』

2-11.気にかけてくれている

11.会わなくても、連絡が無くても思ってくれている人がいる。逆に自分が思っている相手がいる。
だから誰も孤独では無い。
勝手に孤独だと勘違いをせずに居て欲しい。
誰も気にしてくれないと、自分勝手な勘違いをして殻になんて入らないで欲しい。
大丈夫。皆が思い思われている



舞い上がった桜の花と共に鳥達が
一緒に楽しそうに飛び回っていた。
そうちの1羽の白い鳥が
私の元へ近寄って言った。

〈草原の木から来たのはあなたね?〉

私は少し驚いた。
『ええ。何故、知ってるの?』

〈何故って?草原の木から聞いたからだよ。
 無事に歩めてるか心配してたよ〉

『え?私を心配してくれてたの?
 何て嬉しいんだろ…』

〈嬉しい?〉

『えぇ…不思議と、とっても嬉しい感情が
 込み上げてきたの。
 心配して気にかけてくれてたんだね。
 何だかすごく温かい気持ちになれたよ。
 教えてくれてありがとう!』

私の言葉に白い鳥は驚いていた。
〈いや、いいんだ。良かった。うん。
 そんなに喜んでくれるなんて
 伝えて良かったと思わせてくれて
 何だかこちらこそ…ありがとう〉

『あの、もし良ければ、私のここまで
 無事に来てる事を
 草原の木に伝えてくれないかな?』

〈もちろん。もうすぐ、行く予定だから
 伝えるよ。こんなに喜んでたこともね〉

『お願いします。ありがとう』

2-10.修正

10.間違えてしまったら、失敗したら
何が良くなかったかを学び正しながら
また歩めばよい。
時には周りの助けも借りながら
方法を学ぶことも大切。
してあげた事よりも、して貰った事を胸に刻み、助けて貰った感謝を忘れずに。
いつか自身も誰かの助けになれるように。




『それにしても、
 どうやって花を咲かせたの?』

〔それはね。皆のお陰なの。
 私達が花が咲かない事に悩み
 皆を追いやってしまったと
 皆に正直に話したら、
 皆があちらこちらに聞きに行ってくれて
 沢山の情報をくれたの。
 私達だけで頑張ろうとし過ぎたのね。
 私達だけじゃ分からなかった
 沢山の情報を皆が集めてくれたから
 無事に花を咲かせられた。
 コレは皆のお陰で咲いた花なのよ。〕

『皆の想いが咲かせた花なんて
 とても素敵な花だね』

〔そうね。私達も意固地にならずに
 早くに皆に話せば良かったと
 今は思ってるの。
 でも、その失敗があったから
 今は前より皆を大切にできるし
 感謝も持てたから、
 無駄ではなかったと思うようにしてる〕

優しく話す桜の木には
沢山の鳥や動物が仲良く寄り添っていた。

「そうだね。無駄ではないよ、
 ちゃんと気づけたもの。
 間違えてしまったら、正しながら
 前に進めば良いんじゃないかな。
 全て糧にして積み重ねながら
 前に進めば良いと僕は思うよ」

そう言いながら風は
そっと花びらを舞い上がらせた。
皆は花びらに包まれ喜んでいた。

2-9.きっかけ

9.浮き沈みは誰にでもある。
そんな時にも些細なコトで先が開けて見えたり、頑張ろうと思えて、また気持ちが上がり始めていく。些細なきっかけに気づいたら
そのまま見逃さずに、無駄にしないように
掴めるように。


桜の木は穏やかに話し始めた。
〔私達はとにかく花を咲かせたくて…
 でも何故咲かないのかが分からなくて
 周りが葉や実を食べてしまうから?
 土に栄養が足りないから?と、
 とにかく理由を見つけようと
 してたんだけど…
 今思えば、結局は
 周りのせいにばかりしてしまって
 皆んなを傷つけてしまって、
 本当に申し訳なかったわ〕

『そうだったの…』

〔そんな周りが見えなくなっていた時に
 風がきてくれて、鳥達が私達の心配を
 してくれてる事を教えてくれてね。
 初め聞いた時には
 私達は追いやったのに、
 心配をしてくれてるコトに驚いて…〕

「そうだったね。
 鳥達は自分達が追いやられたとは
 思っていなくて、ただ、ただ
 桜の木が孤独になって枯れていくコトを
 心配していたんだ。
 鳥達が言うには、
 私達には他にも食べ物を分けてくれる所が
 あるから心配いらない、だけど
 大好きな桜の木が孤独になって枯れていく
 のが見ていられないんだって
 教えてくれたんだよ。
 僕に何が出来るか分からないけど
 伝えてあげなきゃと思って
 駆けつけたんだ」

『鳥達は、桜の木が本当に
 心配だったんだね』

〔そうね。有り難いことだわ。
 私達はいつの間にか自分達のことしか
 見えなくなって、今まで大切に
 してきた全てを無くしてた事にも
 気付けずにいたのね。〕

『でも鳥達の想いが届いて良かった』

〔いいえ、最初は聞いても、
 どうせ私達の気持ちなんて分からないわ、
 とか、マイナスにしか捉える事が
 出来なくて、皆が敵にしか見えないという
 感じかしらね…
 でも風がただ話を聞いてくれて
 寄り添ってくれてる間に
 こんな私達の所に皆も集まってくれて、
 次第に気持ちを取り戻したのよ。
 そうして、やっと、
 ごめんなさい
 と
 ありがとう
 が素直に皆に伝えられたわ。
 風が立ち直る
 きっかけを運んできてくれたのよ。
 ありがとう。〕

「僕は、ただ
 桜の木の辛さや悲しみや
 全ての本当の想いは
 桜の木にしか分からないと思ってるから
 ただ、ただ、
 話を聞く事しか出来ないしね。
 その想いを出すことで
 楽になるかと思ったから、
 聞いてただけだよ。
 後は皆の想いが伝わったんだよ」
 
 『素敵な仲間がいる事に
 気づけてよかった』

〔そうね。大切なモノは近くに
 沢山あった事に気付けたわ。〕

『きっかけを無駄にしなかった桜の木も
 素敵だと思うよ』

2-8.執着し過ぎない

8.諦めない気持ちは大切だけど
1つに執着し過ぎて
周りが見えなくなり過ぎると
いつの間にか大切なモノを失ってしまう。
そうならない為に周りの助言を聞き入れられる余裕や周りを思いやる気持ちは意識して持ち続けなければならない。


「ねえ見て!あそこの木!花が咲いてる」

『え、どこ?』
風が教えてくれたけど
私は遠すぎてよく見えなかった。

「あそこだよ。やっと花が咲いたんだ。
 良かった!何て嬉しいんだ!
 先に行って会ってくるね」
風が急にスピードをあげて行ってしまった。

私も何が何なのかよく分からないまま
とりあえず急いで後を追った。
暫く行くと
とても鮮やかな桃色の花びらが急に
私の周りを舞った。
風が花びらを運んでくれて私の周りをクルクルと舞ってくれていた。

『何て綺麗なんだろ』

「ね!凄く綺麗だよね!
 下に落ちてしまった花びらたちを
 集めたんだ。この花びら達は土にかえり
 またあの木に戻っていくよ」

風がサスその先には二本の綺麗な桜の木が佇んでいた。私はその木に挨拶をしようと風と共に近づいた。
『初めまして。とても綺麗な花ですね』

桜の木は穏やかに話した
〔ありがとう。わたし達が
 ずっと待ち望んでいた花が
 やっと咲いたの。
 こんなに素敵な花が咲くとは思わなくて…
 本当に嬉しい!諦めずにいて良かった〕

「そうだね。
 諦めなかったから咲いたんだよ。
 良かった!僕も本当に嬉しい!」

風は桜の木にそう言いながら
何度も何度も嬉しそうに木の周りを舞った。

風は私にも経緯を話してくれた
「この木には長い間花が咲かなくてね。
 鮮やかな葉はなるんだけど
 花を咲かせたくても咲かない木達は
 何故だろうばかり言って
 ただ待ち続けてたんだ。
 近寄る鳥や動物達にも
 花が咲かなくなるから
 葉や実を食べないで。と言い出してね。
 そのうち、せっかくなる鮮やかな葉も
 花ばかり待ち侘びる木には必要無いの
 かと思いだし、
 葉もならなくなっていった」
 
『え?そんなに花に執着してしまったの?』
私は桜の木に思わず聞いた。

〔そうなの…
 周りの木には花がなってるのに
 何故、私達だけならないんだろうと
 焦りや不安が増していって
 他を思いやる気持ちすら失ってしまい…
 皆にとても悪いことをしたわ…
 そんな時に風がきてくれたのよ〕
桜の木は申し訳なさそうに言った。

「そうだったね。
 僕に教えてくれたのは鳥達なんだ。
 鳥達は桜の木を心配して
 教えに来てくれたんだよ。
 だから、その事を桜の木に
 教えにきただけなんだ。」

〔でも、それが大きなきっかけになったの〕