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2-28.共に在ると知る

28.自分一人では出来る事が限られる。
例えば、ご飯も誰かが食物を育てたり、漁をして魚をとってくれたりしている。その食べ物を運んでくれる人もいる。それを料理してくれる人がいて、はじめて食卓に食事が並ぶ。当たり前に有る事は、当たり前ではなくそれぞれが役割を成してるからこそ、そこにある。共に存在しているからこそ生きていけている。当たり前は当たり前では無いと知れたら感謝の気持ちが生まれてくる


そう皆で風の話をしていたら、風が遠くから
コチラに戻ってくる様子が見えた。

「あ、噂をしてたら風が戻ってきましたね」

そう私が言うと、タイミングの良さに皆で笑い合った。

白い虎が、
〈風には随分、久しぶりに会う〉
と言って身体を起こし、戻ってくる風の様子を見た。
私は白い虎に
「風とあなたは知り合いですか?」
と聞いた。

〈あぁ、古くからの知人だよ。〉

「ここに住む方々は皆が知り合いですね。
 それに皆が仲が良い。
 争いなんて見たことも無い」

〈同じ星に住むのだから、当たり前だ。
 同じ星で生きていくには互いに
 協力し合わなければならない。
 互いに互いを知ろうとすれば
 争いなんて起きない。
 他の星では争いばかり起きていたりするようだが、互いを想い合い、譲り合い、支え合う気持ちが有れば争いなんて起きないのだ。〉

「それはそうだけど、、
 多くが集まると沢山の考えもあるから
 なかなかまとまらないのでは?」

〈ソレは、他の星の在り方。
 色々な星の特性がある
 この星では、
 皆が共存していると言う考え方が、
 皆に根付いているだけのこと。〉

「共に居る事を知り合えば良いのですか?」

〈一つで何ができる?
 一つでは一つの考え方しかなく
 一つの答えしか出せない。
 しかし、多くが共に居る事で
 沢山の考えがある。
 沢山の選択ができて、
 より良い答えがだせる。
 一つで全部の事はできない。
 それぞれが出来ない事を
 互いに出来る事で補い合ってるからこそ
 成り立つ。
 それを忘れてしまうから、良くない。
 争いはそれぞれが自らの
 思い通りにしようとしすぎるからおきる。
 そもそも、
 一つで成し遂げてる気になっている傲慢さが
 間違えている。
 皆が共に居るからこそ、
 自らが居ると忘れている。
 ソレが争いの元。
 そう考えたら何をどう考え動くべきか
 分かるハズなのだ〉

「そうですね、、気づくべき事に気づけたら争いはおきませんね」

〈そう。全ては気づけるかどうか。
 一つが気づき、その気づきを
 次へとバトンを渡して繋げていけたら
 より良い和が広がっていく〉
 

2-27.心から思う

27.文句を言いながらやったり、ここまでしてあげたのに何の感謝もないと思う行動ならば、望む答えは返っては来にくい。本当の想いでしたことなら、自分がしたくてしたのだからと、相手に対して何も望まないだろう。相手の幸せを心から想えるから。そういう関係を築いていけるように。



〈さて、風はどこまで行ったのだろう?
 来たら話をしたい。〉

白い虎は遠くを眺めながら呟いた。

「沢山知り合いが居るから、
 きっと話が盛り上がってるんでしょう」

私が言うと、大きな木も話し始めた
〔風はいつも、いつも
 沢山のモノの想いに寄り添ってきた。
 何か見返りを求める訳でもなく、
 ただ、ただ、相手を想う気持ちで
 話を聞き続ける。だから何かあると
 皆が風を頼る。
 そして、風に何か頼まれた相手も
 風の為ならと自然と動き出す。
 風の徳が皆にも伝染しているんだろう〕

そう、言いながら大きな木が穏やかに微笑んだ。

「損得を考えずに動くから
 周りの心もその想いを感じて
 自然と動きだしてしまうんでしょうね」

〔そうだね、見返りを求める相手や
 何かあるのでは、と裏ばかりを探る相手には
 誰も手を貸さないだろう。
 本当の親切や優しさは
 必ず相手にも届く。
 届いた相手がその優しさに気づくと、
 今度は届いた相手がまた別の誰かに
 その優しさを届け始める。
 もし、相手に届かないにしても
 届けた方は自分がしたいからしただけの事
 だと思って終わるだろう。〕

「そう考えたら、
 損得とは自我なんでしょうかね…
 自分がこうしてあげたんだから
 とか、自分が、自分が、
 と主張する考えでは
 周りは離れてしまうし…
 頼まれたらやるでしょうが
 誰も手を自ら貸さないでしょうね」

〔まぁ、その域に達するには
 心の学びが必要になる。
 自分はそういう風にしているや、
 出来ていると思っている時点で
 出来ていない。
 まだまだ、と思い学ぶ気持ちを失って
 横柄になっていくだけ。
 だから謙虚さが大切。学ぶ気持ちが大切。
 風は一度も自分がしている事を
 自ら周りに言った事はない。
 ただ周りが勝手に評価しているだけで、
 風自体は、
 自分がしたいからしているだけの事
 だから何も意識していない。
 だから余計に周りは
 感謝しているだけのこと〕

「なるほど…そうですね
 私も風には本当に感謝しています」

2-26.流れ

26.今、当たり前に出来ている事も最初は誰からか教わったからこそ、今出来ている。我が物顔で生きている人も沢山の助けがあったからこそ、今がある。それを忘れてしまうと、行き詰まったり、流れが滞る。だから、そうなったら、何が今の自分に足りないか省みる時と思えたら、また流れが変わり出す。



〈ここから白い塔に着くまでも
 途中で休みながら行くつもりだから
 安心して良い。
 流れもでき始めているから大丈夫だ〉

「分かりました。ありがとう。
 流れができているとは
 どういうことですか?」

〈そうだな…上手く伝えるのは難しいが
 物事には流れがある。
 例えば、
 道が何通りもある別れ道に居る場合
 良い流れができていると
 すんなり目的地に向かう道を選ぶ事が
 出来きる。
 逆に、あまり良くない状態の時は
 選ぶ道も迷い、本来とは違う道を
 選んでしまい遠回りしたり、
 また迷い道に入って行ってしまったりする〉

「そうなんだ…それなら
 私がスムーズにここまで来れたのは
 風達や出会った方々のおかげですね。」

〈なるほど、
 君はそういう風に考えられるからこそ、
 周りからサポートされてきたんだな…
 良い状態は自らの手柄と思いがちだが
 君のように周りがあってからこそだと
 思えると、周りが自然と味方し
 沢山の事を教え、導いてくれる。
 素直に受け入れ感謝が持てれば
 味方は増えていくもの。
 だから良い流れもできていくのだ〉

「私はただ、1人では何も出来なかったから
 周りに聞いて教えてもらってきた
 だけなんだけど…」

〈それで良い。その謙虚さが大切。
 道は1人では切り開いてはいけないもの。
 共に進んでいく気持ちが大切〉

「分かりました。教えてくれてありがとう
 謙虚な気持ちと感謝の気持ちを
 忘れないようにします」

知っていく

24.答えや理由かみえないから不安になりやすい。
あーだこうだと、考える事は大切だけれど
考えているだけでは解決には結びつかない。
一つずつ不安要素を知り、聞いたり調べたり、行ってみたりと、解決しようと一歩ずつでも歩き続けていく方が賢明。



『何故、行くんだろ…
 何があるんだろう…』

私は何となく不安になってきた。
その様子を見て、大きな木が教えてくれた。

〔急に不安になってきたんだね…
 不安になるのは、
 当たり前の心理なんだよ。
 自分の意志で行こうと思ってたのに、
 実は行くには理由があったと分かり、
 分かったら分かったで、
 今度はその理由が知りたくなる。
 答えを探したくなる。
 そして、理由や答えが分かると安心する。
 分かれば、納得すれば、
 目的に向かって歩きやすくなる〕

『そうなんだ…確かに
 白い塔に向かう目標を
 持ってきてたけれど、
 そこに何か有ると分かったら
 逆に不安になってきてる。
 その何かが分からないから
 不安になっているんだね。
 何だろう?何があるんだろうと思いが
 巡り始めている』

〔それは、普通のことだから大丈夫。
 まだ知らない何かがあると知れば
 皆が不安になるもの。
 問題なのは、不安だからと
 歩みを止めてしまうこと。
 止まってしまえば、その不安は
 ずっと不安のまま残ってしまう。
 だけど、知る為に歩み続ければ
 たどり着いて答えや理由が分かった時には
 その不安は消えて
 知れたという安心に変わる。
 一つ不安は消えていく。〕

『そうだね。不安だから辞めたとしても
 いつかまた何だったんだろうと
 思い返して知りたくなってしまうね…
 だったら、その時に行って答えや理由を
 知っておいた方が
 一つ荷物を背負わなくて良い事になる』


〔その通り。不安やわだかまりは、
 抱える時間が長いほど
 重くなることもある。
 しかし、例え知ろうと進んでも
 その時に全てが分からない事もある。
 でも、それはピースが足りないだけで
 いつか全てのピースが揃ったとき
 に全貌が明らかになり分かるもの。
 先ずは知っていくこと
 ピースを集めることが大切。〕

『その一つがそのまま答えの時もあれば、
 一つ知るだけでは、
 答えには結びつかない事もあって…
 だけど、その場合は
 一つ一つ知っていくことで
 何か大きな答えに結びついていく
 ってこと?』

〔まぁ、そんな感じだろう。
 それも経験していくうちに
 理解していくものだ。
 だから、休みながら歩き続けてみなさい〕

『そうだね。不安だけど
 先ずは行って知ってみようと思う。
 ありがとう。気持ちが軽くなった』

〔そうか、良かった、良かった〕

『ありがとう』

2-23.選んできた道

23.自分で悩みながら選んできた事も、色々な繋がりや、深い古い記憶により
実は導かれてそうなっていたことや、
そうなるようになっていたから自然に選んできた事の方が多い。
フト何気なく訪れた場所や、出会う人々も
実は元々は何らかの関わりがあり
行くべき場所だったり、出会うべき人だったりする。色々な事が合致し出すと、あぁそういうことだったのか。と、なんとなく分かり始める。



大きな木に寄り掛かり休ませて貰っていると
木の温もりと暖かい日差しに心地よくなり
いつの間にか眠ってしまっていた。

目を覚まし、驚いた。

隣に大きな白い虎が休んでいた。

『え・・・』と声を出すと

大きな木が私に気づいた。
〔目覚めたかい?〕

『はい。。この方は??』

〔あぁ、驚かせてしまったね。
 ワシの古くからの友だよ。〕

白い虎も私達の声で目を覚ましてしまい大きなアクビをした。

『そうなんですか。
 急に居たから驚いてしまって
 起こしてしまいましたね。
 ごめんなさい。』

〈いや、いいんだよ。
 急に隣にこんなのが居たら驚くのも無理がない。君が旅を続けている噂を聞いてね。
 ここに居ると知りやってきたんだ。
来たら気持ちよさそうに眠っているから、こちらも眠気に誘われて眠ってしまった。〉

『私に何か用があるんですか?』

〈あぁ、君に用があるんだった。〉

『何でしょうか』

〈君をあそこにある白い塔に連れて行かなければならないんだ。君は意味があってココに降り立っている。その意味を知る為に先ずはあの塔に来て欲しい。〉

『そうなんですか。。丁度あの塔を目指して歩いていたところなんです。それにしても意味ってなんですか?』

〈そうか。行くつもりだったか。
 引き寄せられていたということは
 君は導かれてそういう流れになっていたんだろう。なるほど。そうか。そうか。〉

白い虎は納得していたが、何が何だか分からなかった。

『あの、意味って・・・』

〈意味、意味は行けば分かる。
 君は既に感覚で分かっている。
 だからこそ、この道を歩いてきていたんだ
 他の道では無くこの道を歩いてきたんだ〉

『よく言っている意味が
 分からないんですが』

大きな木が教えてくれた
〔友よ。友ばかり分かっていても
 何も伝わっていないぞ。困ったもんだ。
 何かが彼の中で結びついて理解が深まっているようだ。要するに、旅を続けて選んで歩いてきた道は、実は導かれて選んできていた。そしてそれは君自身も心の奥底では目指す何かがあり、無意識に選んでいた部分もあるということだ。〕

『え?それでもよく分からない・・・
 私がとりあえず行こうと思っていた
 白い塔は、実はあの塔に行くようになっていて 導かれて歩いてきていた
 ということ?』

〈まぁ、そういうことのようだ〉

2-22.巡回

22.全ては巡り巡ること。
言葉も思いも行いも何もかも巡り巡る。
その事を意識して過ごし始めると変わり始める



「僕はここの皆に挨拶をしてくるよ。
 君はココで休ませて貰うと良いよ。」

と風が言うので、私もそうしたいと思い
木に聞いた

『そうさせて貰ってもよいですか?』

〈もちろん。何の遠慮もいらないよ。〉

風は、野原や皆の元へと出かけていった。

私は先ほどの大きな木の話しが気になり聞いてみた。
『あの、聞いてもよいでか?
 バトンを渡すのは、ココに居る
 この小さな木に渡すの?』

〈あぁそうだよ。
 気づいた時にはココに居てくれていた。
 そしてそのコトに気づいた時に、
 そうかその時か
 とワシが知ることができた。〉

『寂しくはないの?』

〈そうだね…
 寂しくないと言えば嘘になる。
 だけど今までの時間を思い返してみたら
 十分幸せだったと思えたから
 寂しさは無くなった。
 それよりも、この芽生えた木に
 沢山のことを次に繋いでいく役目が
 まだ残っている。
 全部ではなく大切な事だけを伝えていく
 後はこの木が学ぶべきこと。
 ワシもそうであった。
 沢山のことを、ココに来る
 沢山のモノ達から学び、
 その学んだことを今度は
 ワシがココに来たモノ達へ伝えていく
 全ては巡り巡りゆくのだよ
 巡回されて成り立っている。
 だから、立ち止まっていたら誰にも
 会えないから何も身に付かない
 会えば会うほど沢山の知識や感情が
 芽生えてくる。
 良い事だけではないかもしれない。
 しかし、良くない事からも
 学ぶべき事があるのだと
 またそこからも学べる
 その繰り返しで成長していくんだよ」

『凄いね…出会いには意味があるんだね、
 分からないままだったら
 勿体ないことをする所だったよ。
 いま知れてよかった!
 ありがとう!!
 意識して会うようにしたら
 凄い沢山のことが身につく気がする』

〈ワハハ、君は面白い。
 何でも吸収していく。実に面白い。
 その気持ちや意識はいづれ
 多くのモノの心を動かし出すだろう。
 良いことだから
 その気持ちを大切にしなさい〉

『そうします。ありがとう』

2-21.探し続ける

21.何をするべきか、何かを探し続けて生きている人が多い。見つけてしまえば、難なくこなせる。
ソレをしている時が一番満たされていると感じることを。その為には歩みを止めてはならない。
そして、見えなくなっている原因を知らなければならない。


湖畔に着くと綺麗な花が沢山咲いていた。湖は水が澄んでいて、目の前にそびえ立つ山や空の姿が水面に綺麗に映し出されていた。
空気もとても澄んでいて居るだけで癒される空間だと直ぐに分かった。

私は休める場所が無いか探そうと周りを見渡していると、風が良い場所があると大きな木のある場所に案内をしてくれた。

「久しぶりに来たけれど、変わりはない?」

風が大きな木に話しかけた。

〈そうだね。久しぶりだね。
 相変わらずだよ。年月を重ねながら、
 しぶとくココに居座ってるよ〉

大きな木は、笑いながら答えた。

「そう、元気そうで良かった。」

〈元気?元気ではないな、
 あちこち傷み始めてそろそろ潮時だと
 感じている。もう十分生きた。
 そろそろバトンを次に渡す時がきている〉

そう言って、大きな木の横に芽生え始めたばかりの同じ種類の木を嬉しそうに見つめた。

「そうなんだ。もうその時が近いんだね」

『その時って?どういう意味なの?』

私が思わず発した言葉で
大きな木が私に気づき
風が私はを紹介してくれた。

「ゴメン、紹介が遅れたね。僕と一緒に旅をしているんだ。」

『すいません、
 急に話しに入り込んでしまい』

〈いや、良いんだよ。
 こちらも気づけずすまなかった。
 年のせいか見えなくなってきてるのでね〉

優しく微笑んみながら、そう言ってくれた。

〈それで?質問は何だったかな?〉

『あ、その時と言うのは?』

〈その時…ソレはココから離れることだよ。
 もう十分に役目を果たしたからね〉

「そうだね、
 アナタは十分に役目を果たした。
 ソレはココにいる全てが知ってる」

〈そうか。皆が分かってくれているか…
 ソレはとても嬉しい〉

大きな木は満たされているように見えた。
私はよく飲み込めず
『アナタはココから離れてしまうの?
 居なくなってしまうの?
 それなのに嬉しそうなのは何故?』

〈ワハハ〉
と、木は大きく笑いながら答えてくれた。

〈そうか、君には不思議に見えるんだね。
 ワシは長い間、本当に本当に長い間、
 ココにこうして湖を見守ってきた。
 そして沢山のことを成し遂げてきた。
 成し遂げたからこそ、
 終わりも見えるんだよ。
 永遠にココにいる訳にはいかないんだよ。
 ワシの次の役目の為にもね。
 そしてココに芽生え始めているワシの今の
 役目を引き継ぐモノの為にもね。
 バトンを渡さなければならない。
 それも役目。〉

『私、いま何かとても凄い事を
 聞いている気がする…』

風と木が笑っていた
「凄いこと…そうかもしれないね。
 だけど、皆がそうなんだよ。
 僕だっていつかはバトンを渡して
 僕の次に繋いでいかなきゃならない。
 そして僕は、僕の次のステージに行く。
 それは皆が同じで、本当は君も知ってる。
 皆が知っている事で、
 だけど忘れている事。」

『そうなの!?私も知ってたことなんだね…
 じゃあ、私も何かやるべき事があり
 いまココに居るんだね…何だろう…』

「そうだよ。
 だから旅を続けているんだよ。
 皆、分からないから旅を続けていて
 分かってしまえば、
 満たされて、こなしていく。
 とてもスンナリとこなし始める。
 その姿を何度もみてるから
 間違いないはず」

〈そうだな、ワシも沢山みてきた。
 だから、一つ言えるのは
 歩むこと探すことを辞めてはならない。〉

2-20.区切り

20.ただ漠然と何かに突き進んむよりも
少しずつ目標や目的を決め自分なりに区切りながら進んだ方が着実に歩める。
一つずつ達成していくことで
自信にも繋がり前向きにもなれる。



湖畔までは少し距離があったけれど、
あそこまでと決めたら
少し気持ちが前向きになれた。

風は進みながら教えてくれた。
「あそこの湖畔で少しやすんで
 少し進んだら、道が分かれるんだけど
 そこから君は真っ直ぐ進むと
 あの遠くに見える白い塔にたどり着くよ。
 僕は頼まれていたモノを届ける為に
 道を曲がっていかなきゃならないんだ。
 だから、一度そこで別れることになる」

『寂しいけど分かってたことだから。
 一緒にペースを合わせて進んでくれて
 ずいぶん沢山の事を教えてくれて
 本当に心強かったありがとう。』

「こちらこそ、ありがとう。
 でもまだ一緒に進むし
 また会えるから大丈夫だよ。」

『そうだね。気が早すぎたね』

と私達は共に笑い合った。
 
『私、あそこまで行くって決めたら
 気持ちも体も楽になってる感じがしてる』

「何も決めずにいくと、
 どこまで歩き続ければ良いのだろうと
 不安が募るし
 心も身体も疲れてしまうけど
 少しずつでも目標を決めて
 区切りながら進めると
 気持ちに達成感がうまれるし
 休憩もとりやすいから
 また次の目標に向かって頑張れるんだよ」

『確かにそうだね。
 私もゴールが分からずに進んでいるけど、
 少しずつ目標を決めて歩いているから
 焦りは無くなったかもしれない。』

「うん。良かった。
 とにかく進み続けるということ自体は
 悪い事じゃないと思うけど
 少しずつでも目標や目的を決めながら
 進んだ方がスムーズにいく事もあるんだよ」

『そうか。ただ漠然と進むより
 気持ちにメリハリが出来るから
 頑張ろうって思えるね』

2-19.お互い様

19.自分だけが正しいと思ってしまうと相手を気遣えない。何か起きた時も、相手を責めてしまう前に自分にも起きる可能性がある事なのだから、と気づいて、お互い様だと認め許せたら気持ちに優しさが宿る。
逆にお互い様だから良いよ、と許して貰えたり、認めて貰えたら、感謝の気持ちを伝えよう。良い人間関係は自分から歩みよる事から始まる。



歩き続けていると大きな湖畔が見えて来た。

「あそこまで行ったら、また休憩しよう」
と風が言ってくれたので

『うん。そうさせてもらう。
 ちょっとだけ疲れてきてたから、助かる。
 あそこまでって決めたら頑張れる』

私は、風の気遣いに気づいた。
『あなたは、いつも私の事を知って
 ちょうど良いタイミングで
 休ませてくれてるね。ありがとう…』

「いや、君は君で僕に
 気を使ってくれてるでしょう。
 だからお互い様だよ」

『あなたは本当はもっと早いペースで
 先に進めているハズだったのに、
 私にペースを合わせてくれているから
 出来るだけ早く行かなければ
 悪いと思って…
 だから行ける所までは無理をせずに
 頑張ろうって決めてたの』

「そうだと思ってたよ。
 ありがとう。だからお互い様。」

『お互い様って言葉を聞くと
 ちょっと気持ちが楽になると言うか
 温かくなると言うか…
 良い言葉だね』

「うん。お互い様って互いに
 許し合える感じかな…
 ありがとうって言い合えたら
 何だか幸せな気持ちになるね。」
 
『確かにそうだね。
 自分にもあり得る事かも知れないし
 お互いに足りないことを
 責める事なく許し合って
 感謝し合えたら
 何だか優しい気持ちになれるね』

「そうだね。
 お互い様なんだから!と
 自ら開き直るのではなくて
 ちゃんと感謝し合える事が
 大切なんだと思うよね」

私達はお互いを気遣い合え
信頼できる関係を築いてこれてたんだと
気づき嬉しくなった。

2-18.サポート

18.素直に話しを聞こうとしたり
学ぼうとしたり、行動したりと
歩み続けていると、周りがサポートし始めてくれる。いつの間にか、現実が動き出している。常に周りに感謝の気持ちを持ち続ける事が大切。


風と私が桜の木から歩み始めると
白い鳥達も途中まで見送ってくれると言い共に来てくれた。
〔私達も色々な所に飛び回っているから
 また直ぐに会えるわね〕
と、白い鳥が言ってくれた。
私はその言葉が嬉しくて励みになった。
『そうだね。
 また会える時を楽しみにしてる』

風は鳥達と大空に楽しそうに飛び回る姿を見て、私は嬉しくなっていた。
鳥達はそのまま飛んでいき、風と私はまた進み始めた。

『風の居場所は空なんだね…
 空を飛び回っている時が一番楽しそう』
私は風に伝えた。

「そうだね、楽しい!
 自由でいれるし、心が弾むんだ」

『いいね。そうやって、
 いるべき場所が分かったり
 何があっているか分かるのが羨ましい』

「大抵みんなそう言うんだ。
 何が向いているか分からないとか
 何をしたら良いか分からないと。」

『うん。私もそう。
 分からない。』

「そうなんだね。
 でも必ず、コレをしている時が
 一番楽しいと思えたり、
 満たされると感じるモノが何か
 分かるハズなんだよ。
 ただ、色々な雑念や見栄や余計な思考が
 邪魔をして見えないだけなんだと
 思うんだよね」

『そうかもね。それか、そのモノに
 出会えて無いかなのかな…』

「うん。だけど、ただ考えているだけでは
 何も分からないままだと思うよ。
 自分から学ぼうとしたり、行動したり
 出会おうとしたりしなければ
 変わらないと思うんだ。」

『その通りかもね…』

「君は今歩き続けているでしょ。
 何も分からない不安は有るだろうけど
 とにかく知ろうと歩き続けている。
 だから、こうして側に居て
 応援したいと思えるから
 サポートしてるんだ。」

『そうだったんだ。ありがとう!』

「いいんだ、
 僕がしたくてしてることだからね。
 君の成長が早くて見てて楽しくて
 僕も学ぶことが多いから、感謝してる。
 どこに行っても、皆が君に沢山の事を
 教えてくれるのは、
 君が学ぼうとして聞いてる姿勢が
 皆に伝わってるからなんだよ」

『そうなんだ…
 私は何も分からないから
 周りに頼るしかなくて、頼りっぱなし』

「うん。ソレでも
 ちゃんと周りに感謝を伝えられているから
 全て良い出会いになってるでしょ」

『そうだね、有り難いことに
 良い出会いばかり』

「そうやって積み重ねていくうちに
 きっと答えは見えて来るよ。
 焦らずに今やるべきことを
 やっていこう」

『そうだね。ありがとう!』